水色書架

自作の一般向け現代小説を書いています。長編短編をご用意しております。
はじめに
次の小説を構想中です。しばしお待ちを…。

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作品リスト  [ 『スペードのA』 ]

スペードのA (1)

鮮やかな夕焼けが町を染め、一日の終わりを告げる中、通学カバンを持ってとぼとぼと家路をたどる高校3年生のサワダエリコの目には行き交う人たちも、通り過ぎる風景も目に入っていなかった。物憂げな表情で、何度彼女は溜息をついたことだろうか。

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[ 2011/04/30 10:56 ] 『スペードのA』 | TB(-) | CM(-)

スペードのA (2)

ショッピングモールの上階、その一番奥の片隅に、占いの部屋と看板の出ている一室があった。たっぷりとした赤いベルベットのカーテンがドレープを描いて垂れ下がっている。神秘性があるというよりは、いかにも女の子が占い好きなのを当て込んでの目立つデコレーションで、料金も若い世代がお小遣いで払える程度の低額だった。

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[ 2011/05/01 13:00 ] 『スペードのA』 | TB(-) | CM(-)

スペードのA (3)

女占い師は、並べた順に次々とカードをめくっていった。カードに何の意味があるのかとエリコはまだ疑いを残しながら見つめていた。ついに最後のカードを残して13枚のカードが開かれた。

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[ 2011/05/02 13:00 ] 『スペードのA』 | TB(-) | CM(-)

スペードのA (4)

エリコは占いの部屋に行ったことは母には内緒にした。こんな受験の大事な時期に何をしているのかと叱られるに決まっている。占いにお金を使ったことも無駄遣いだと責められるだろう。

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[ 2011/05/03 13:00 ] 『スペードのA』 | TB(-) | CM(-)

スペードのA (5)

次の日、エリコとクラスで顔を合わせたミカは、占いの話にはほとんど触れず普段どおりだった。ただ、占い師がお婆さんだったことが意外で驚いたという程度だ。エリコにとっては喜んで話す結果でもないため好都合だった。それに、一夜明けると、やはりあの占いは単なる偶然の一致で、大したことはないんじゃないか、そして、ビクビクして最後のカードの説明を聞かずに帰ったことが間抜けにさえ思えた。

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[ 2011/05/04 13:00 ] 『スペードのA』 | TB(-) | CM(-)

スペードのA (6)

エリコが自宅に帰りついた頃には、母はすでに家にいて夕飯の支度をしていた。おかえりという声はかかったものの、包丁で野菜を刻み、火にかけた鍋の様子を見るのに忙しいらしい。

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[ 2011/05/05 13:00 ] 『スペードのA』 | TB(-) | CM(-)

スペードのA (7)

週明けの月曜日は何かが違っていた。ミカがエリコを避けているふうだったのだ。態度もいつもと違ってよそよそしく、エリコが昨日姉と落ち合ってチケット2枚を受け取ったので、ミカを誘うつもりでいたのだが、

「あたし、行けない。
 だってほら、受験勉強しないと。
 のんびり演劇見てる時期じゃないでしょ?」

と、いつもなら、勉強ばかりじゃストレスがたまるからと、学校帰りにケーキ屋やハンバーガー屋に寄り道の提案をするのは彼女のほうなのに珍しく断ってきたのだ。

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[ 2011/05/06 13:00 ] 『スペードのA』 | TB(-) | CM(-)

スペードのA (8)

明くる朝、エリコは母親とは口をきかずに登校して行った。母親もいつになく言葉少なで、かえって気味が悪いと感じたほどだった。それより、ミカが今日もよそよそしい態度でいるのだろうかと思うと、エリコはもはや彼女の機嫌を窺うつもりもなくなってきた。スペードのAの呪縛があるとしたら、何をやってもうまくいかない気がする。そうなのだ、あの占いは的中しているに違いない、そう感じていた。

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[ 2011/05/07 13:00 ] 『スペードのA』 | TB(-) | CM(-)

スペードのA (9)

再び部屋に戻って勉強を続けていると、机の上に置いていたケータイに着信が入った。ミカからのメールだった。すぐに手に取り、エリコはメールを開いた。

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[ 2011/05/08 13:00 ] 『スペードのA』 | TB(-) | CM(-)

スペードのA (10)

小劇場で行なわれたサツキの所属する劇団の芝居は、規模は小さいものの満員で、シェイクスピアの戯曲を現代風にアレンジしてある喜劇で大盛況だった。姉のサツキも出番は少ないながらも、シェイクスピア特有の長い台詞をとうとうと語り、演技をし、エリコの知っている姉とは別人のように感じた。

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[ 2011/05/09 13:00 ] 『スペードのA』 | TB(-) | CM(-)

スペードのA (11)

エリコはショッピングモールの中を歩いていた。目指すは上階の片隅、そこに占いの部屋があり、レディ・ジェスターと自称する女占い師がいる。今日はミカは一緒ではなく、エリコ一人でやってきたのだ。

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[ 2011/05/10 13:00 ] 『スペードのA』 | TB(-) | CM(-)

スペードのA (12)完

占い師が次に口を開いたとき、エリコは無意識に前のめりになった。

「スペードのAは、確かに凶の意味が強いカード。
 でもね、反転のカードでもあるのよ。」

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[ 2011/05/11 13:00 ] 『スペードのA』 | TB(-) | CM(-)